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弦巻楽団からオファーが来たよ、って聞いて、
舞い上がって話の内容も知らずにOKしました(笑)−−−−曽我


−−曽我さんは出演した時のこと、何か覚えてますか?

曽我夕子  まず最初に、弦巻楽団さんからオファーがきたよ、っていうのを所属しているyhsのリーダーの南参から聞かされて「あ、私も弦巻楽団に出れるんだ!」って思ってすごい嬉しくて、速攻「OKです!」って言ったんです。話の内容を詳しく知らないで(笑)OK出してしまったんですよね。申し訳ないんですけど、ファーって舞い上がってたんですよ。
 

岩杉夏  嬉しかったのね。
 

曽我  そう!嬉しかったの。すごい嬉しくて、わーやったー!ってなってたら、ラジオのパーソナリティ役 だって言われて(笑)。
 

岩杉  やったじゃんラジオ!授業!授業やったじゃない。

−−お二人は、もともとは同級生なんですよね?

曽我  もともと同級生。

 

岩杉  同じ声優の専門学校の同級生です。

−−じゃあ、マイク前で語ったり、滑舌の授業なども?

岩杉  やりましたやりました。

−−では冬樹里絵の設定である、ラジオのDJ、気象予報士、パーソナリティというのは、むしろうってつけな…?

岩杉  そうそうそう! 我々がやってきたことといえば、ね?


曽我  だけど、私、滑舌が、非常に苦手というか、上手く喋れなくて。ラジオのパーソナリティの役、しかも声に恋してもらうっていう役だと知った時に、「やばい!」と思って! これはやばいぞって焦って、ちょっと早口言葉練習した覚えがあります。一生懸命。青巻紙やってた。

−−稽古に入ってからの感じとか覚えてます?

曽我  初めましてというか、お顔は拝見したことあるけど、とか、一緒の現場だけどあんまり関わったことない、くらいの人が結構いらっしゃって。最初はドキドキして行ってたんです。でも、まっつさん(松本直人さん)も、フレンドリーに接してくださって、すぐ溶け込めた気がします。ただ、セリフがいかんせん、回らないなっていう…。
 

岩杉  その焦りは常にあった?
 

曽我  これはやばいぞ!って。「速めなテンポで喋って」という演出だったので。これを早く言わなきゃいけないんだっていう焦りと、口の回らなさとで。私は果たして芝居をちゃんとできているのだろうか、って。
 

岩杉  ちょっと、いっぱいいっぱいになっちゃった?
 

曽我  うん、でも、その時でもまっつさんとか、大丈夫だからって落ち着かせてくれたり。舞台セットができた時はすごい感動した。ここでできるんだー!って。
 

岩杉  ねー。
 

曽我  すごい嬉しかった。

−−2013年と2016年バージョンは、舞台セットがほぼ同じ物なんです。

岩杉  いま写真見てびっくりしました。

−−細かいところが多少ずれてるだけで、ほぼ同じ。川崎舞さんにデザインしてもらった円形の舞台が特徴的でした。

岩杉  うん。
 

曽我  素敵だったー。本番はとにかく毎ステージ毎ステージ楽しかったことは覚えてて。スピード感のあるお芝居なので、波に乗り遅れないようにっ考えてました。

 

 


ひどい過去があっても普通に社会人として生きていく。
自分にはないその揺らぎとか不安定さが出せるかなぁ、と。−−−−岩杉


−−喋り以外の部分で、演技をするうえで大変だったことってありますか?

曽我  最初は、大人しい感じでいて、後々爆発するっていう流れを作るにあたって、そこに「大人の女性」っていうのがどうしてもイメージつかなくて。どうしても子供っぽくなっちゃう。大人ってなんなだろう?って、色んなもの見たり聞いたりしても、役に組み込むことがなかなかできなかったという思い出があります。
 

岩杉  実年齢より4つ上だったのかな?
 

曽我  バツイチっていうところも、絶対なんかひと悶着があっての別れなんだろうだから。そのひと悶着は一体どの程度のひと悶着なんだろうって考えた時に、重たすぎると、暗い人になるし、軽すぎると意味がない感じになって、子供っぽいただのキレる人になるし。
 

岩杉  (笑)
 

曽我  ただのキレる人になっちゃいそうに、ならない?
 

岩杉  傷ついた人間っていうのは土台にあると思うんですよね。浮気されたことは1回や2回どころか、みたいな感じで。クズ男と付き合ってきて相当傷ついて、そんな時に、奥坂の言ってたことを思い出したのかな、とか。奥坂の本を読んだりして、「恋愛は弱虫のすることだ」っていうところで「あ、そうなんだ」って思って離婚したんじゃないかなって思ってるんですよ。
 

曽我  なるほどね。
 

岩杉  でも、ひどい過去があっても人間は人間なので、普通に社会人として生きていく。その揺らぎというか、普通に生きているんだけど、どこか自信がなさそうとか、揺らいでるとか不安定なのを、冒頭のシーンでは出すべきなんだなっていうのが考えとして一個あって。それは私にはない部分なので、出るかなぁ出ないかなぁ。
 

曽我 (笑)
 

岩杉  キレるシーンに関してはある種あんまりリアルではないというか。お芝居ならではのデフォルメじゃないですけど、そこはむき出しにする。

−−怒ってる姿とか、感情をむき出しにする姿って、曽我さんが危惧したような、幼く見えてしまうという問題として起こりがちだと思うのですが、曽我さんはそれを気にしてたんですか?

曽我  してました。キーキーキーキー言うだけになっちゃう。大人って何だろう?ってどんどんがんじがらめになった時期があった気がします。
 

岩杉  私は喜怒哀楽をむき出しにするってことで、子供っぽくなるかもって心配をしたことが実は無くって。普段からむき出しにしまくってるので。
 

曽我  夏が怒ってる姿は、叱るに近い気がする。
 

岩杉  あー、なるほどね。
 

曽我  だから大人だなってずっと思ってる。私はたぶん怒り側が強くて、感情的にウーーってなるから、子供っぽくなってるんだと思う。
 

岩杉  そうかそうか。感情のベクトルの違いなのかな。

−−それぐらい、やる人によって違いが生まれるっていうことですよね。岩杉さんは2016年の時のことで覚えてることあります?

岩杉  実際に、ラジオのパーソナリティを6年くらいやっていたので。初めて、芝居以外でやっていたことを芝居に生かせる、すごい明確なチャンスだなって感じたので、是非やらせてほしいって思いましたね。ラジオのシーンに関しては、あまり辛くはなかったですけど。私は物凄い早口で喋る人なので、冬樹里絵のテンポを守りながら、周りに巻き込まれずに自分の空気で生きていくってのが、物凄く大変でした。こんなに遅く喋ってて私、周りの邪魔になってないかって疑心暗鬼になりながらやっていた部分もあって。でも幕が開いて、かみ合わなさにお客さんが笑ってくれたりしてるのを聞いて、あぁそうかこれが正解だったんだなって、初めて納得したみたいなところがありましたね。私は気づかずにいたけれど、これは緻密に計算されていたんだ、って。マジックにかかったような気分でした。あと初めて言われたのが「演技が親切すぎる」。お客さんにも役者にとっても演技が親切すぎるから、もっと不親切でいいって言われて。
 

曽我  へー!
 

岩杉  わかりやすい芝居を心掛けてきた自分にとって、物凄い新しい風が吹いたというか、今まで割と同じような劇団しか出てこなかったので。なるほどなってところが一杯あって。新しい発見だらけです。

 



「2年前の自分との戦いにもなるんだ…」って言葉が、
重くのしかかってきている。−−−−岩杉


曽我   そうそう、再演初めてって聞いたんだけど。
 

岩杉   再演、初めて!
 

曽我   初再演どういう感じ? 心境的に。
 

岩杉   遠藤(洋平)君が稽古場でポロっと言った「2年前の自分との戦いにもなるんだ…」って言葉が、よくわかんないけど重くのしかかってきている。なぞろうとしたくないんだけど、そうしたくないんだけど、そうしたくないなって思えば思うほどなぞりがちかもしれない!みたいな混乱があって。「再演の闇」と呼ぶことにしたんですけど(笑)。曽我って再演やってる?
 

曽我   yhsでは結構、再演をやらせてもらっていて。南参さんの演出が、前のやつはこうだったよ〜って考えながらやってたりするから、似てくるんだけど、やっぱり周りの先輩方がそれじゃ面白くねぇよって変えてくるんだよね。前とは全然違うことやってくれるから、それにあわせていったらだんだん違うようになっていく。
 

岩杉   なるぼどね〜。
 

曽我   たぶんこの作品は主人公の奥坂教授が違ったらだいぶ違うと思う。
 

岩杉   全然違う。それはやっぱ今回の面白みだなって思いますね。

−−曽我さんどうですか。もう一回冬樹里絵をやってって言われたら。

曽我   やりたい気持ちと、果たして馬鹿にされずにできるのかっていう。
 

岩杉  (yhsの)先輩方から馬鹿にされまくったのトラウマが。
 

曽我  私、千秋楽の最後のセリフ噛んでるんですよ。それを未だに馬鹿にされているので。
 

岩杉   千秋楽観にきちゃったんだ。
 

曽我   来ちゃった。ただ、あの頃よりかは大人だから私は。大人になってる。
 

岩杉   言い聞かせてる。自分に(笑)。
 

曽我   大人だから私は。だからあの時よりもうちょっと深くいける気がする。

−−では札幌演劇シーズン2018-冬、始まりますけど、2回目の冬樹さん、初めての再演となる、

曽我   ヒューヒュー!

−−岩杉さんに曽我さんから何かメッセージを!

岩杉   励まして!がんばるから!!
 

曽我  今日、色んな話を聞いてて、松本さんじゃない教授とどう掛け合いというか、どういう話になるんだろうってワクワク感が強くなって、観るのが楽しみです。
 

岩杉   観にきてくれよなっ!
 

曽我   私がやってたのが5年も前だから、結構自分の中でも忘れてる部分とかもあるので新鮮な気持ちで絶対観れると思うんだ。里絵さんってどんな人だっけって。
 

岩杉  私も客席で見たことないから、逆に曽我がもう一度やるところをすごく観てみたい。

−−最後に、「ユー・キャント・ハリー・ラブ!」のPRポイントというか、オススメをお願いします。

岩杉   偏屈と言われる教授なんけど、絶対に見てるうちに前のめりで応援したくなること請け合いなので是非教授と一緒に物語を最後まで見届けていただきたいなと思います。あと、冬樹さんにも注目してください(笑)。もちろん他にも濃い、自分を生きている、人生を謳歌してるキャラクターたちがたくさん出ますので、いや、たくさんも出ないか。
 

曽我   3人くらいかな。
 

岩杉  是非教授と一緒に物語を、いや、教授と一緒にじゃないな。教授のことを温かい目で見守っていてほしいなと思います。頭空っぽにして来てください。お願いしま〜す!

主人公のシェイクスピア研究家・奥坂教授がその声に恋をしてしまうラジオパーソナリティ・冬樹里絵。今回、二度目の冬樹里絵を演じる岩杉夏と、2013年の三演目で里絵役を演じた曽我夕子。専門学校時代の同級生で、現在は札幌演劇界で活躍する二人が、「ユー・キャント・ハリー・ラブ!」について、冬樹里絵について語りました。

聞き手:弦巻啓太

曽我夕子(yhs)

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岩杉 夏(ディリバレー・ダイバーズ)

Rie Fuyuki talk

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